愛媛県・市町全職員DX意識調査報告(2023年度)
こんにちは!
愛媛県・市町DX推進会議事務局です。
この記事では、2023年度に推進会議が初めて実施した「愛媛県・市町全職員DX意識調査」について、その概要や調査結果のポイントをピックアップしてご紹介します。
愛媛県・市町全職員DX意識調査とは
愛媛県・市町全職員DX意識調査は、自治体職員のDXに関する意識やスキルを定量的に把握することで、各団体のDX推進やデジタル人材育成などの施策の立案や効果検証に役立てることを目的に、2023年度に初めて推進会議が実施したものです。
県・市・町が全ての職員を対象に同じタイミングで調査することで、以下のような実態把握と分析ができるようになっています。
同一組織内の職員の属性による差
自治体間で比較した場合の組織ごとの特徴
(次年度以降の調査の継続を前提に)経時的な変化
設問設計の方法
経済産業省所管の独立行政法人・IPAが公開する「DXリテラシー標準(デジタルスキル標準v1.0)」(2022 年12月版)をベースに、愛媛県独自の設問を追加する形で設計しました。
※主設計者:下山紗代子氏(愛媛県・市町DX推進支援専門官)
※設計協力・レビュー:愛媛県内市町の有志職員
DXリテラシー標準に基づく設問(54問)は4つの分野で構成し、それぞれ次のような定義で質問を設定しています。
※回答はすべて以下4つの選択肢からの単一選択式としました。
1. 当てはまる
2. あまり当てはまらない
3. 少し当てはまる
4. 当てはまる
このほか、DXリテラシー標準とは関係なく、愛媛県独自で作成する項目では次のような質問(6問)を設定しました。
残りの質問(9問)は、自治体名・職種・職位・年代・性別といった回答者の属性を問いました。
調査項目の一覧
実際に使用した調査項目の一覧は、愛媛県オープンデータカタログサイトにて公開していますので、こちらをご覧ください。
愛媛県・市町DX意識調査_設問一覧 - 愛媛県オープンデータ (pref.ehime.jp)
調査結果
調査結果のデータはビジュアル分析ツール「Tableau」へと接続し、各市町のDX推進担当部署に共有しています。
ご関心のある方は各市町の担当窓口までお問い合わせください(個別市町の結果はご提供できません)。
なお、この調査は他の自治体との相対的な特徴の把握や、仮説・事業効果の検証などに活用していただくためのものです。
自治体・属性ごとの結果は優劣を示すものではありませんので、ご承知おきいただけたらと思います。
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調査結果のデータは下山専門官が主催したBIツール勉強会で活用し、ツールの使い方を学びながら分析に挑戦しました。
次項では、全体結果から見えてきた2つの分析をご紹介します(あくまで事務局の担当者による分析です!)。
①スコア平均値の比較
分析の一つ目は、全体の結果概要として、傾向の見えやすいスコア平均値(※)の比較を3つの切り口からご紹介します。
(※)設問1~54の回答をスコア化(当てはまる:4点/すこし当てはまる:3点/あまり当てはまらない:2点/当てはまらない:1点)して平均値を算出したものです。
1. 職位別スコア平均値
DXリテラシー標準に基づく4つの分野すべてにおいて、それぞれのスコア平均値は部局長級以上が最も高く、次いで課長級が高い傾向にあります。
2. 年代別スコア平均値
年代別に見ると、30代を中心に20代~40代でスコア平均値が高くなる傾向があります。
年齢に沿ってスコアが伸びているわけではないことから、職位別の結果と合わせて考えると、各年代の中でも職位が高い人物ほどDXリテラシーを有する傾向にあると推測されます。
3. 自治体別の分布
自治体別の分布では、4つの分野のうち「マインド・スタンス」において最もばらつきが少なく、「Why(DXの背景)」で最大となりました。
「Why(DXの背景)」のばらつきが最大となった要因として、設問21の「テレワークの実施状況」で特に自治体間の差が大きく、平均値に影響したと考えられます。
また、「What(DX で活用されるデータ・技術)」のスコアは相対的に低い結果となりました。AI活用やIT分野の知識が求められる設問だったことが理由として考えられます。
②リスキリングについて
分析の二つ目は、リスキリングについてです。
設問56の「リスキリングが必要と感じるか」では、93.3%の職員が「必要性を感じている」と答え、若い世代ほど割合が高くなる結果となりました。
一方、設問57の「学習の時間が確保できているか」では、「できている」との回答が16.7%にとどまり、特に課長補佐級と係長級、30代と40代という中堅層で「できていない」という割合が多くなりました。
設問58「どのような知識やスキルを習得したいか」については、回答に記載された単語の出現頻度などを可視化しました。
※ユーザーローカル テキストマイニングツールによる分析
DXに関する調査であったことから、「OfficeソフトやAI(ChatGPT)などのツールを業務に活用したい」という意見が多いように見受けられます。
さいごに
設問の設計や結果分析をご担当いただいた下山専門官からは、次のようなコメントをいただいています。
愛媛県・市町DX推進会議では、今後も年度に1回を目安に調査を実施し、経時的な変化を計測していく方針です。
事前の準備や周知方法などを改善することで回答率の向上を図り、年度間での比較を視野に入れつつ回答しやすい設問数などの検討を重ねてまいります。
愛媛県・市町DX推進会議の最新情報やこれまでの取り組みについては、他のnoteの記事でご紹介しています。ぜひ、ご覧ください。