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ウィンターワーキング開催       締めくくりと未来へのバトンパス

こんにちは!
チーム愛媛DX推進支援センター長の渡部久美子です。

今回の記事では、2月9日に松山市内で開催した「チーム愛媛DX ウィンターワーキング」について紹介したいと思います。

チームの全体研修会に該当する「ウィンターワーキング」は、これまでも「キャンプ」というネーミングで定期的に開催してきました。

「もっと市町や専門官との距離を縮めたい」
「実際に会って話すことで創造できる価値がある」

顔を合わせるたびに関係を築いてきた、チーム愛媛DXの仲間たち。
3年間の集大成となる研修を振り返りつつ、チームの今の姿をお伝えできればと思います。


ウィンターワーキングの開催目的

2021年度に発足した愛媛県・市町DX推進会議。
高度デジタル人材シェアリング事業に代表されるさまざまな取り組みを通じ、DX推進に向けた機運の醸成や市町への個別具体的な支援を進めてきました。

活動開始から3年が経過し、関わってきた職員の異動が一定数見込まれる状況も踏まえ、今回のウインターワーキングでは、次年度への引継ぎ=パトンパスをコンセプトに

・3年間の取り組みを見つめ直し、その価値を最大化させる
事業の成果を、組織や個人の取り組みへ確実に機能させていく

以上を主な目的としてプログラムを設計することになりました。

きっかけとなったのは、県・市町職員からなる企画運営メンバーの

「自分たち(=自治体職員)と専門官(=外部人材)双方の視点から事業を振り返り、より効果的・効率的なアクションへとつなげたい」

という思いです。

企画運営も「自走」を目指す

今回の企画運営メンバーには、松山市・今治市・西予市から3人の立候補があり、県事務局の職員1人が主体となって企画運営の設計を行いました。

センターとしては「自走を見守る」関わり方にとどめるため、会議内での相談や壁打ち、これまでの反省や改善を提示することに徹し、あくまでも黒子として企画運営に携わりました。これも支援の締めくくりを意識してのことです。

企画会議では、企画現場のニーズにより対応する形で研修テーマを掘り下げたほか、サマーキャンプで実施したKPT(ケプト)法による抽出項目を確認。

「キャンプよりワーキングというタイトルのほうが上司に説明しやすい」といった声も採用することになりました。

各組織の最前線でDXを推進している職員ならではの視点で、サマーキャンプやウィンターキャンプの経験を踏まえ、より効果的なプログラム設計ができたように思います。

当日の流れ

プログラムの柱となるのは、職員同士によるグループディスカッションと、専門官の本音を知るためのパネルディスカッションです。それぞれ振り返ってみたいと思います。

KPT法×白板アプリで活発な議論を

グループディスカッションには県・市町の職員37人が参加し、

  • 職員研修

  • 広域コミュニティ

  • オンラインチャットツール

以上3つのテーマから選択してグループごとに話し合いました。

5~6人ずつのテーブルに分かれ、これまで取り組んだ事業の成果や課題のほか、今後取り組むべき施策や挑戦してみたいアイデアなどを、KPT法で整理していきます。

KPT法は【Keep】【Problem】【Try】の3ステップで課題を解決する手法の一つ。サマーキャンプでも取り入れた手法ですが、今回はホワイトボードアプリ「Miro」も活用しました。

テーブルを越えてイメージを共有しやすくなったほか、リアクションを可視化することで、次年度へのアクションに対し分かりやすく賛同できるようになりました。

話し合いは企画運営メンバーのサポートにより、テーマごとに次のような視点で進めていきます。

  • 職員研修 → 各ステップ(設計から受講後まで)の課題

  • 広域コミュニティ → 実証実験的に取り組んだことの検証

  • オンラインチャットツール → 組織内外での効率的な意思疎通

「これまで受講した研修をOJT化していきたい」「広域コミュニティを若手の離職防止に役立てたい」などと意見を出し合い、整理していきました。

付箋にメモして模造紙に貼り付けるイメージで、アプリ上に整理していきました。
これまでの活動で見えてきたことを、【Keep】【Problem】【Try】にまとめていきます。
【Try】を分析した後は、広域で実施するべきTryを抽出し、付箋を移動させていきます。

情報交換を兼ねた昼食タイムの後は、テーブル・テーマごとの発表へとうつりました。

主な意見としては、

【職員研修】

  • 全庁的な取り組みとして、人事部局との連携が不可欠

  • 職員のスキルを高めるために、インセンティブが効果的では

【広域コミュニティ】

  • 欲しいと思う情報を発信し、応えてもらい、真似てみる場として貴重

  • 細分化したオンラインコミュニティがあれば交流が活発になるのでは

【オンラインチャットツール】

  • もっと活用しやすくなるよう運用ルールを話し合いたい

  • 新しく配属された人にはオフラインでのフォローも必要では

このような「Try(=今後挑戦していきたいこと・決意)」が発表され、参加者の皆さんも「いいね」などのアイコンで次々とリアクションしていきました。

外部人材との付き合い方を考える

パネルディスカッションのテーマは「自治体における外部人材との付き合い方」です。

「さまざまな規模やマインドの自治体と関わる中で、専門官は正直どのように感じていたのか。本音を聞くことで、自治体が外部人材と関わる際のヒントにしていきたい」との意図で企画されました。

4人の専門官がパネリストとして登壇し、企画運営メンバーの一人がメインファシリテーター、
私はサブ担当として参加しました。

市町・業務別の相談対応や訪問支援、広域コミュニティ醸成のサポートなど、手探りで始まった人材シェアリング事業のコミュニケーション。

専門官からは次のような感想を聞くことができました。

・お互いきちんとした話ができるまでは、正直辛く感じたこともありました。対話を重ね、問題の本質をみていくうちに、個別最適化した支援ができるようになったと思います。

・最初は戸惑うこともありましたが、雑談を交わす中で関係が深まり、本音を聞けるようになりました。初めから理想を提示するのではなく、まずは周辺の話題から入るなど、私自身もアプローチの方法を変えることで成長できたと思います。

・(DXの担当課だけでなく)原課をうまく巻き込めた市町は、とても良い形でのサポートができたように思います。

「支援内容で困ったことはありませんでしたか?」という質問にも、率直にお答えいただきました。

・テーマが十分に整理できていなかったり、相談内容があまりに薄いと感じられたりしたケースでは「役に立てなかった」と残念に思うこともありました。

・時間を有効活用できるよう、議論の土台となるフォーマットを事前に用意できると良いかもしれません。

・あまり「先生」扱いされるとやりづらいです。対等な関係で議論したほうが「共創」を目指せると思います。

(左から:藤田専門官・小田専門官・下山専門官・山形専門官)

自治体職員へのアドバイスとしては、次のような応援のメッセージをいただきました。

藤田専門官:プロモーションの世界では、自分が心から楽しいと感じていなければ、相手も楽しく幸せにすることができません。「ワクワク」は、住民の方にも伝わります。皆さんには、楽しく仕事をしていただきたいですね。このチームであれば、きっとできると期待しています。

小田専門官:自治体職員の方には、もっとわがままになって、我慢せず、自分の気持ちを大切にしながら仕事をしていただきたいです。外部の専門家が「一方的に上から話す」という構図では「対話」にならないですよね。仲間として話し合いながら、一緒に作っていける関係が良いと思います。

下山専門官:ここまで県と全市町が一体となってのDX推進は、他の地域をみてもほぼ例のないことです。体制が整ったことで、今後も話し合いながら新しい価値を作り出していけるのではないでしょうか。チーム愛媛DXの皆さんで、どんどん新しいことに取り組んでいただきたいです。

山形専門官:専門知識をもった外部人材は、ひょっとしたら隣町にいるかもしれませんし、探せば隣の課にもいるかもしれません。私も以前は地元役場の行政職員でした。公務員にしかできない町づくりがあるということを、退職してから本当に実感しています。ぜひ、皆さんの力で様々な施策を実現していただけたらと思います。

今後のチャレンジに向けて

最後に、菅原統括責任者より「枠組みの引き継ぎも大切ですが、次は何をしたいのかを改めて考える機会にしていただきたいと思います。県と市町が、ここまで同じベースで議論できる関係は他にありません。このベースを大切に、共創を目指して今後も取り組みを続けていってください」などと総括いただきました。

今回のウィンターワーキングでは、チーム愛媛DX、そして職員の皆さん一人ひとりが「引き継ぎたい」「発展させたい」「トライしたい」という思いを確実に共有できたように思います。

また、今回の会場は、松山城のお堀にある市民会館小ホールで、部屋の中に能舞台があるお部屋でした。

職員の方々は、各々がPCやタブレットを持参し、オンラインツールを使用したディスカッションボードでのワークに参加。この数年の中で最もデジタルツールを使った会となりました。

研修でよくある光景としてはPCに釘付けになり、人とデジタルが対峙する絵が思い浮かびますが、チーム愛媛は違います。

この3年間で培ってきた「人と人との信頼関係」がベースにあるため、デジタルツールが溢れている会場でも、久しぶりの再会に喜んだり、お礼を言ったり、新たなメンバーを現メンバーが紹介しあったり…と、人の心が流れているワーキングになったと確信しています。

今年度事業の終期となる3月末は目前に迫っていますが、私たちセンターも最後までチーム愛媛の一員として、チーム愛媛のDXの推進に鋭意努力して参ります!

🌻チーム愛媛DX推進支援センター長 渡部久美子


※こちらの記事でもチーム愛媛DXの全体研修をレポートしています。
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