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"研修"じゃなくて、"キャンプ"。〜南予キャンプ 宇和島編〜

こんにちは。サポートスタッフの矢部です。
先日、1つ研修が開催されました。
 
その名は「南予キャンプ(@宇和島)」です!

チーム愛媛のDXにおける”キャンプ”とは
○広域で一緒にDXに取り組むきっかけづくり
○県内の自治体間で気軽に問い合わせるなど、意見交換できる関係構築 
を目的とし、各市町よりDXに取り組む様々な人たちが集まり、自治体・部署間を超えて一緒に学習する場

キャンプってそもそも意味が違う??と思う方もいると思います(笑)
昨年度、この会議に関わる全員(職員・専門官)の心理的安全性を高めていくことが、良いチームをつくり、共創の土台として行政の研修らしくない(?)楽しくて、熱くなれて、同じ釜の飯を食べるような研修会…

そんな想いで研修会を企画していたところ、デジタルシフト推進課長の発案で、「チーム愛媛DXサマーキャンプ」と命名されました!

今年もその想いを受け継いで邁進しようと想いを持ち続け、「キャンプ」というネーミングで研修会をしています。

 <昨年度のキャンプの様子はこちら>

また愛媛県民でない方は、南予って?と思う方もいると思います。
愛媛県は、東部の【東予】・中央部の【中予】・南西部の【南予】の3つのエリアに分かれています(下図参照)。

東予・中予・南予とは(出典:県内市町情報,愛媛県公式サイト)
  • 昨年度はキャンプの開催が2回とも松山市での開催であったこと

  • 南予地域にはDX推進に人員を割けない自治体が多いこと

これらの理由から実験的に南予地域に狙いを定め、各自治体からDX推進部署以外の人にも参加してもらいやすいよう、県庁の南予地方局でキャンプを開催することとしました。
今回は南予の中でも宇和島圏域(宇和島市・松野町・鬼北町・愛南町)を対象としています。

事前に配布した研修のチラシには、午前・午後でそれぞれ参加してほしい担当部署名なども書き添え、ターゲットを明確にしています。
 

こちらのチラシは県の担当:鎌倉壱成さんが作成しました。
見やすいデザインで専門官の個性がわかりやすく親近感が持てる書き方になっています。

 当日は様々な部署から大勢の職員の方のご参加をいただき、それぞれの知見を生かした意見交換などを行い、とても有意義なイベントとなりました。 では、実際に行った研修の様子をご紹介します! 

【午前の部】

午前の部は「チーム愛媛の認識共有」「デジタル関連部署に知ってほしい”データの話”」と題して菅原統括責任者下山専門官から講演を行いました。

  「チーム愛媛のDX」の方針など (愛媛県・市町DX推進統括責任者 菅原直敏)

「チーム愛媛」の認識共有について語る菅原統括責任者

※講義内で菅原統括官がお話しした内容を一部抜粋いたします。

”チーム愛媛のDX”というのは、20もの市町と県が協働で取り組む前例のない大型プロジェクトです。
 
総務省発表の「自治体DX推進参考事例集」の中には、三つの項目があり、まず最初の体制整備という項目で一番目に取り上げられているのが「チーム愛媛DX」の取り組みです。
つまり、総務省がこの愛媛県の事例を代表的なものとして評価をいただいている事になります。
最近では「デジタル田園都市国家構想実現会議」でも、愛媛県の事例が取り上げられました。また民間のマニフェスト大賞や日経アワードなど様々なメディアからも注目を集めています。参加者の皆さんには、愛媛県に対する期待度についての認識も共有していただきたいと思います。
 
宇和島市は、実はチーム愛媛DXのスタートの地、
DXの話をします!とした時に、真っ先に手を上げていただいた市なんです。
当時はコロナ禍で日本中が停滞していた時期でしたので、積極的に参加してくださったことはとてもありがたいことでした。

 このように提案を形にして知事から幹部職員まで、DXとは何かということを伝え、当時掲げたコンセプトを忠実に守ってきた統括責任者の菅原さん。
当時行けるところは全て訪問し、結果、知事・20市町の首長がオンラインで集まって認識共有の話を40分もすることができたそうです。

この多忙な首長たちの調整をした各自治体担当の職員さんの熱意の現れだと思います。その一体感のおかげでDX協働宣言を掲げることができたと言うことですね。
当時ご尽力を尽くして協力していただいた方からすると、相当感慨深い現在なのではないかと思います。
 
 
② 講習「データは人を幸せにできるのか」(データ利活用分野:下山紗代子専門官)

今回も”愛媛データ寺子屋の住職”袈裟姿で登場していただいた下山専門官

本日お話させて頂くテーマは「データは人を幸せにできるのか」ということで、最初に渡部センター長から提案していただきました。

幸せって人それぞれの感じ方によった、定義できないものなので、
これを議論するのは非常に難しいと思います。
そこで今日は、データに対するイメージ、情報とは何が違うのかとか、またどんなデータがあって、どんな風に活用できるのか。
具体的な活用方法や何のためにデータがあるのかというところを今日はお話しして、みなさん自身が「データで人を幸せにできるのか」を考えていただきつつ、聞いていただければと思います。

まずは具体的な例として、sli.doを活用し簡単な質問を通じて、入力した文字の可視化ができるテキストマイニングツールを目の前で見せていただきました。
 
「見えないものを見ようとする」=データ化して見える化する
この見えないものは頭の中の思考であって、データとして他者と共有することによってわかりやすく表現することができます。(なかなか人前で手を上げて発言することが苦手な方なども、質問ツールを使ってその場で匿名で質問することもできますね。)
 
データと情報の違いの定義
ISO/JISの定義によると、「情報」とは一定の文脈中において意味を持つもの。「データ」は「情報」の表現であって、「情報」を形式化したものであり、再度「情報」として解釈できるものであると定義されています。
簡単に考えると「データはコンピューター向けに使うもの」「情報というのは人間向けに提供されるもの」というふうに使い分けていただけるとわかりやすいです。
 
データ分析のポイント
「D(データ:data)・I(情報:information)・K(知識:knowledge)・W(知恵:wisdom)」よく情報学の分野で使われるピラミッド構造があり、右から順に価値の高いものとされています。”データ”から”情報”を抽出し、物事の規則性を解する”知識”となり、未来の予測につながる”知恵”と呼べる状態にするために、データ分析を行います。(知恵をアップデートするためにはデータの取得からプロセスを繰り返す必要があります。)
 
他にも、数値データを用いて客観性を向上させる事例や、データの民主化の例として専門家でなくともデータを見て現状を把握できるようにするためのダッシュボードについてもお話ししていただきました。(バルセロナや神戸市の事例、RESAS(リーサス):地域経済分析システムを用いての実例など、様々な事例を分かりやすく紹介していただきました。)
 
こうした実用的な講座は参加していただいた方にとても好評でした!
ここで午前の部は終了。休憩後は他の専門官の講座とワークショップへと続きます。

【午後の部】 

午後の部の様子は県・市町DX推進会議 事務局の鎌倉がお届けします。 
初めての執筆となりますので拙文ご容赦ください!(セルフハンディキャッピング) 
 
午後の部は「企画の基礎ワークショップ」と題して専門官によるミニ講座とワークショップを組み合わせた構成です。 

(左)司会は渡部センター長へ! 
(右)席替えで自治体混合チームへ!(何やら大物が混じっている…?) 

企画?DX関係あるの?と思うかもしれませんが、もちろんあります! 
デジタル技術の活用の前に、しっかりとターゲットについて考え、事業を構想しなければ中身のないデジタル化になってしまいます。(DX担当部署以外の方にも興味を持っていただきたいという狙いも少々…) 

 最初は渡部センター長の進行によるアイスブレイク! 近くの人と2人組になり、お互い5分ずつ自己紹介スピーチを行うという内容です。 
自己紹介に重要なことは…「聞き手の姿勢」です!(私は「正直に話すこと…」と答えてしまい、意図せず会場が和やかな雰囲気に)  

 
場も和んだところでデザイン思考・UI/UX分野:前田専門官ミニ講座がスタートしました。 DXには“ユーザー本位”[徹頭徹尾ユーザー視点を意識すること]が欠かせない、というお話。

ユーザーのこと、考えてますか?

 仕事をしていると最終的にユーザー(自治体でいえば住民が多いですね)の視点が消えてしまった経験ありませんか?私はあります…  
 
デジタル技術を使うかどうかは置いておいて、相手を喜ばせるために、適切にユーザー視点で考え続けることが重要なんですね! 

その手法として、“ペルソナ”や“エンパシーマップ”、“カスタマージャーニーマップ”のほか、東温市の事例などをご紹介しました。
ペルソナ=「あ〜こんな人いるよね像」など、かみ砕いて説明していただき、普段聞きなれない言葉も受け入れ易かったのではないでしょうか。 

続いて 広報・マーケティング分野:藤田専門官にバトンタッチして、実際にペルソナ、エンパシーマップを作成するワークショップを実施しました。   

ターゲットを深堀するとアイデアが生まれてきます

まずは、実際の商品のパッケージの例を用いてターゲット設定の重要性を説明。
ペルソナはターゲットを狭めるものではなく、具体的な人物像から気づきを得るもの!という前提が自治体職員には大事ですね。 

その後、6チームそれぞれでペルソナの作成を行いました。 テーマは「移住施策のターゲット」です! 

い~いペルソナですね~

 時間が少ない中で皆さん、様々なペルソナを作成して発表いただきました。 (宇和島市が釣りの名所ということもあり、釣り人ペルソナは2人も…笑) 
細かい設定の中から、具体的な移住施策に活かせそうな要素も見えてきました! 
 

そのまま、そのペルソナのエンパシーマップ(=ユーザーの気持ち丸わかりマップ:前田専門官訳)も作成。

ターゲット像“なおさん”はペルソナ?n1分析?

こちらは、慣れないとなかなか作成が難しく項目がすぐに埋まらない班もありましたが、専門官の協力もあり皆さん楽しみながら作成していただいたように思います。 
手法や考え方を学ぶこともそうですが、自治体間で交流を促進する意図も達成できたのではないでしょうか! 
 

最後は官民共創分野:小田専門官のミニ講座「ささる企画のつくり方」です。(今後実施する研修のショート版として提供) 

世はまさに自治体間競争時代… 

事業を計画する際には、本日学んだ「ユーザー視点」に加えて、「ビジネス視点」が重要というお話。 

多くの自治体が直面している人口減少問題対策を例に、自治体間の競争倍率は約1,000倍という背景から、自治体にも企業の事業活動と同様のアプローチが必要と説明。 (どこにでもあるような魅力の訴求では生き残れない…)

自治体に足りない部分については、民間企業とスムーズに協力して価値を創出していくために、自治体職員としてやるべきことを3点教えていただきました!
皆さんが地域のオンリーワンを見つけるきっかけになるといいですね。 

午後の部はデジタル技術に関して直接学ぶような内容ではありませんが、こういった視点・考え方のもとDXを推進しないと、中身のない取組みになってしまうため、部署関係なく、できるだけ多くの職員に参加いただけるアプローチを行いました。 
  

最後は午後の参加者で、恒例の集合写真撮影! 

南予のNポーズ  

もう一枚! 

指さす先には…?

皆さんお気付きになられたでしょうか…現地参加が叶わなかったシステム・セキュリティ分野:山形専門の霊が写真に写り込んでいることに… 

こちらは下山専門官が作成した3Dモデルを撮影時に合成したものです!(LiDARスキャナ搭載のスマホがあればアプリで作成できるそう)
この集合写真の他にも、一枚山形専門官が映写っている写真がありますので探してみてください。 

<南予キャンプ@宇和島 の思い出>

左から宇和島市法被(渡部センター長)、松野町法被(藤田専門官)、愛媛県法被(菅原統括官)、愛南町法被(前田専門官)、鬼北町法被(小田専門官)、鬼北町法被(下山専門官) 

キャンプ企画の恒例となりつつある法被姿。センター長からの提案もあり、今回は参加自治体から法被を貸していただき、ご当地感やお祭り感を演出しました! 

みなさん振り返ってもう一枚 

法被のせいか、江戸っ子感が増したセンター長


会場(愛媛県南予地方局7階)からの景色 

当日は天気にも恵まれました!

6月30日(@愛媛県南予地方局八幡浜支局)には対象を変えて南予キャンプを実施します。こちらも参加自治体からの事前ヒアリングを通して、内容をアレンジしていく方針です。 
 
八幡浜ではどのような内容になるのか、また記事でお届けしますのでお楽しみに!